R「好きでここにいるんじゃないのよ。あちこち連れまわされてうんざりよ」
P「あたしだって。今日は久しぶりの雨のあとで、気持ちよかったのにさ。
しかもなんか、あんた気取ってるし冷たいからムカつくのよね」

R「この季節にここにいることが、どれだけ大変かわかる?はーもう、これだから田舎育ちはは嫌よね」
P「ちょっと待ってよ。ぬくぬくと育ってきたあんたに何がわかるのよ!何があろうとそれに合わせて生き抜く根性があるって言うの?!きーっ」

手の中で騒がさを感じる。
オーダーは、コンセプト「息吹き」テーマカラーは「赤」。
ブーケを受け取る女性の話を聞いていると「息吹くことは、結婚」が観えた。
赤、とは何が表現されるのだろう。
情熱?

この季節、赤いものは自然にあまりない。花屋の冷蔵庫から連れてこられた赤いスブレーバラや一輪咲きのバラを手に、「赤」をどうやって表現したいか感じつつ庭をめぐる。

そして集まったモノ達のざわめき。

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同じ花瓶に入れて水揚げしている間、お互いを知ってもらうように頼んだ。
二時間後‥

R「まあさ、でもこんな出会いがあるなんて正直、嬉しいわけ私もさ。
あそこにいる子達は、みんな息してればいいんでしょって諦めて誰かここから連れ出してくれないかなーってじっとしてるだけだから、そんなの生きてる意味あんの!?って悔しいじゃない。

だから、見てエーーーーーー!あたし、めっちゃきれいでしょー。て媚びてでも連れ出してもらわないと、次もないじゃん。」

P「そっかー、動物とか虫来ないからラクって訳でもないんだー。それも辛いよね。
そっかそっかー、知らなかった、なんか恥ずかしー。
私らもさ、見た目より中身でしょ!って頑張らないと生きていけないと思って必死だったけど、大変だとしても好きな所に伸びたりして、選ばれる形になったよねって今日わかったわ。」

R「うらやましいわけよ。そんなグニグニ好きなようにさー」
P「私もあんたみたいにまっすぐ伸びれたら、花屋とやらに行けるのかと思うとちょっと背筋も伸ばしたくなるわー」

なんか、お互いを理解し始めている。よし、どんなブーケになるか観えた。

今まで、いい子でやってきたからこそ、立ったことのない舞台、裏方でどっしりと引き立てる。赤のバラ達は土台に。
その土台があるから、自由さがひき立つ。庭のモノ達を主役に。
お互いがいるから、自分を知り引き立てあう。
陰にいるから、より赤が感じられる。

最後に、実りある息吹になるようにスダチの実を加えた。

今日の登場人物?!
P  和名:サクランボ 学名:Prunus avium
R  和名:バラ 学名:Rosa spp.